【書評】「おもてなし幻想」〜カスタマーサポート関係者は全員読んだほうがええ
どうも。DA事業本部@大阪オフィスの玉井です。
「おもてなし幻想〜デジタル時代の顧客満足と収益の関係」という本を読んだので、書評エントリを投下します。カスタマーサービス(サポート)業務に携わっている方は、この本の内容に、雷に打たれたような衝撃を受けるのではないでしょうか。
少しフライングして書くと、顧客の期待を超えるような親切丁寧なサポート(「おもてなし」)を提供しても業績にはほとんど関係無い、ということが調査から判明した…とされています。
では、どういったサポートが業績向上につながるのか?それはどうやるのか?…っていう本です。
書籍の概要
著者(敬称略)
- マシュー・ディクソン
- CEBのセールス・アンド・サービス・プラクティス部門エグゼクティブディレクター
- ニック・トーマン
- CEBのセールス・アンド・サービス・プラクティス部門リサーチ担当シニア・ディレクター
- リック・デリシ
- CEBのセールス・アンド・サービス・プラクティス部門アドバイザリー・サービス・シニア・ディレクター
日本語版監修者(敬称略)
- 神田昌典
- 経営コンサルタント・作家
- リブ・コンサルティング
- 経営コンサルティング会社
翻訳(敬称略)
安藤貴子
目次
- 第1章 顧客ロイヤルティを巡る新たな戦場
- 第2章 なぜ顧客はあなたと話したがらないのか?
- 第3章 カスタマーサービス担当者がしがちな最悪の質問
- 第4章 できることが何もないように思えても、できることは必ずある
- 第5章 主導権を握るには、主導権を手渡さねばならない
- 第6章 ディスロイヤルティを見つけ出せ〜顧客努力指標V2.0
- 第7章 努力の軽減を定着させる
- 第8章 コンタクトセンター以外での努力
この本を読もうと思った理由
私はテクニカルサポートというチームのリーダーをしているのですが、最近はもっぱら「そもそもサポートってどういう風に運営すればいいのかな」ということを考えています。我流で下記のようなことも考えたりしてるのですが、やっぱりちゃんとした知識を学ぶ必要があると感じたので、この本を手に取りました。
この本のすごいところ
主張の全てが「実際の調査とデータ分析」に基づいている
当書は、これまでのカスタマーサービスにおける常識を覆すようなことが書かれていますが、そういった主張の根拠は全てデータに基づいています。著者の企業が大規模な調査を行い、実際にカスタマーサービスを受けた顧客9万人超のアンケートデータとその分析を基にしているので、説得力が違います。この「絶対データ主義」的なところは、データ分析に携わる身としても、非常に素晴らしいと思います。
図や付録が超充実
著者たちは、上記以外にも色々な調査を行っていますが、それらの結果を可視化した図がこれでもかというほど掲載されています(61個)。また、当書ではカスタマーサービスにおいて顧客ロイヤルティを高めるためには「顧客に努力させないこと」と結論づけていますが(後で何度も出てきます)、顧客努力を減らすために役立つツール類が付録として掲載されており、自分の業務に活かせるようになっています。
この本の流れ
下記のような構成になっています。
- 第1章
- 調査の結果、カスタマーサービスにおいて顧客ロイヤルティを高めるのは「顧客に努力させないこと」という結果がわかる
- 第2章〜第5章
- 「顧客努力の軽減」の具体的な方法
- 第6章
- 「顧客努力」の測定方法
- 第7章
- 「顧客努力の軽減」というテーマをチームに根付かせる方法
- 第8章
- カスタマーサービス以外の「顧客努力の軽減」についての説明
各章の紹介(と私の読書メモ)
私の読書メモがてら、各章を紹介しています。(すごい長くなってしまった…)
第1章 顧客ロイヤルティを巡る新たな戦場
前述したように、この章では、9万人超に対して行ったカスタマーサービスに関する大規模調査の概要と、そこから判明した結果について書かれています。
顧客ロイヤルティの定義
当書では、話をすすめる前に、まず顧客ロイヤルティという言葉を下記のように定義しています。
- 再購入
- 顧客があなたの企業から引き続き購入すること
- 顧客内シェア
- 顧客があなたの企業から購入する割合が増えること
- アドボカシー
- 顧客があなたの企業のことを周囲(友人等の身内やネット上など)にまで褒めること
著者(が所属するグループ)で行った調査
上記で定義した顧客ロイヤルティとカスタマーサービスについてのあらゆる話は、3つの疑問に集約されるとあります。
- 顧客ロイヤルティを高めるうえで、カスタマーサービスはどの程度重要か?
- 顧客ロイヤルティを高めるためにカスタマーサービスができることは何か?
- どうすればカスタマーサービスは運営コストの削減とロイヤルティの向上を両立させることができるか?
上記の疑問に対する答えを探るために、著者たちはCEB(世界最大のカスタマーサービス組織のネットワークの運営元)を通じて、最近カスタマーサービスを体験した9万7000人超の顧客にアンケートを実施しました。この調査で取得したデータを分析した結果が次項となります。
調査結果
大規模調査(と分析)の結果、以下のことが判明しました。
喜びの戦略は割りに合わない
「期待以上のサービスを受けた顧客」と「期待を満たされただけの顧客」の間で、顧客ロイヤルティの差は全くないことがわかりました。つまり、顧客の期待以上のサービスを提供しても、顧客ロイヤルティは向上しないということになります。
満足度はロイヤリティの予測因子ではない
- 「サービスには満足したが、他企業製品に乗り換える予定」という顧客が20%
- 「サービスには満足していないが、同企業の製品を買い続ける予定」という顧客が28%
サポートの指標としてよく挙げられるものに顧客満足度(CSAT)がありますが、CSATを向上しても顧客ロイヤルティが上がるわけではないことがわかりました。
カスタマーサービス・インタラクションは、ロイヤリティではなくディスロイヤリティを促す可能性が高い
- 「製品の良い部分を他人に話したい」という顧客が71%
- 「製品の悪い部分を他人に話したい」という顧客が32%
- 「カスタマーサービスの悪い部分を他人に話したい」という顧客が65%
- 「カスタマーサービスの良い部分を他人に話したい」という顧客が25%
「カスタマーサービス・インタラクション」は、サービス上の顧客と企業のやり取りのことですが、やり取りが発生した時点でディスロイヤルティを促進する可能性が(やり取りが発生していない顧客と比較して)4倍高いという結果になりました。やり取りは無いに越したことはない…ということです。
また、製品自体の悪い口コミは広がりづらいですが、カスタマーサービスの悪い口コミはすぐ広がるという結果がわかりました。逆にカスタマーサービスの良い部分は広がりづらいという結果です。私たちは「サポート窓口の対応が悪かった!他のサービスにする!」という感じでサービスを辞めることはあっても、「サービスが良いから」という理由で乗り換え先のサービスを検討することはないでしょう(おそらくサービスの価格とか品質で決める)。
ディスロイヤリティ緩和のカギは顧客努力の軽減
ディスロイヤルティを促してしまう行為はいくつかあります(たらい回し等)が、それらを体験した人が「その企業へのロイヤルティは低い」と答えた割合は96%、逆にそういったディスロイヤルティを低下させる行為を経験していない人が「その企業へのロイヤルティは低い」と答えた割合は9%でした。
結論
顧客が期待している以上の高品質なサポートを提供するのではなく、「顧客努力を減らしてディスロイヤルティを緩和すること」こそが、カスタマーサービスが行うべき重要な事項であるといいます。
第2章 なぜ顧客はあなたと話したがらないのか?
この章では、「そもそも顧客はサポート側と対話したがっていない(問い合わせ自体が1つの努力に該当する)」→「セルフサービスを用意して自力で解決させる」ということについて書かれています。
チャネル転換
前章で挙がった「ディスロイヤルティを促してしまう行為」の一つがチャネル転換です。チャネルというのは「メール」「チャット」「電話」といった、サポートコミュニケーションの手段のことですが、これが変わる時(変えざるを得なくなった時)、ロイヤルティは低下します。
セルフサービスに「とどまらせる」
大体の企業は「お客様はFAQサイトより電話(などのライブサービス)による対応を好んでいるはずだ」と考えていますが、著者が別途調査を行ったところ、「ほとんどの顧客はセルフサービスで解決できれば何の不満もない」という結果になりました。
また、電話をかけてくる顧客の58%は「既にWebサイト等のセルフサービスを見ている」こともわかりました。セルフサービスでは問題が解決できず、電話に「チャネル転換」しているのです。なので、セルフサービスを使わせることではなくセルフサービスにとどまらせることが重要であると書かれています。
セルフサービスにとどまらせるには、セルフサービスの構造や内容をシンプルにすることです。わかりやすいサイト構成にしたり、記事の内容に使われている言語をわかりやすいものに変更する等の対策が記されています。
第3章 カスタマーサービス担当者がしがちな最悪の質問
「再問い合わせ」させることは顧客に努力させていることになり、ロイヤルティの低下になる…ということで、この章では、再問い合わせに関して書かれています。
「本日お客様の問題は完全に解決したでしょうか」は最悪
サポート側が顧客に対して回答を案内する時の締めの言葉としては非常にベタなものですが、当書では最悪の言葉としています。この質問自体が悪いというより、「ええ…そう思います。」という、この質問に対する顧客の返答が問題なのだと言っています。「ええ…そう思います。」と回答した顧客は、数日後、再び問い合わせを行うことになるでしょう(理由は後述)。「ディスロイヤルティを促してしまう行為」の一つ、再問い合わせです。
再問い合わせ
顧客は、最初に問い合わせた問題が解決しても、最初の問題に間接的に関連する理由で再問い合わせをしがちです。再問い合わせの理由は主に2つ。
- 隣接する問題
- 最初の問い合わせと関連がある潜在的な問題(最初の時は顕在化していないため顧客は気づかない)
- 経験に関する問題
- 顧客が受け取った回答が気に入らなかった場合等
顧客が問い合わせてくるその問題には、顧客すら気づいてない潜在的な問題というものが含まれています。だから「本日お客様の問題は完全に解決したでしょうか」と顧客に聞いたところで、「ええ…そう思います。」としか返ってこないんですね。
次の問題回避
再問い合わせを防ぐには、顧客の問題をただ解決するだけでなく、その問題と関連がありそうな問題を、サポート側が先に見越して解決するようにしなければなりません(「次の問題回避」)。当書では、そういった手法を実際に行っている企業の事例が紹介されています。
初回解決率だけ見てもダメ
初回の問い合わせで問題が解決された割合を「初回解決率」といいますが、これをKPIとしているカスタマーサービスは多いと思います。しかし、初回解決というのは、顧客が明言した問題を解決したかどうかしか測定することができません。必要なのは関連する潜在的な問題の方です。ですので、初回解決率だけでなく、再問い合わせについても測定し続ける必要があります。こちらも実際の企業の事例が紹介されています。
第4章 できることが何もないように思えても、できることは必ずある
この章では「顧客が努力したと感じさせない」ような対話方法(経験工学)について書かれています。
「顧客努力」の意味
第1章で「顧客努力を減らしてディスロイヤルティを緩和すること」と言っていたように、顧客の努力を最低限にすることが大事なのですが、ここでいう顧客努力とは、実際に顧客が行った行動ではなく、「顧客が努力したと感じたかどうか」です(要するに顧客の受け止め方次第)。多くの企業はここを勘違いしており、例えば「顧客が当社の回答するまでのプロセスの段階を減らす」といった対策をとりがちですが、どれだけ実際の(顧客の)作業量を減らしたところで、顧客自身が「自分の問い合わせを解決するために努力した(せざるを得なかった)」と感じてしまったら、それは顧客努力をさせてしまったことになります(そしてそれはロイヤルティの低下につながる)。
顧客努力を減らすためには
「顧客の受け止め方」をサポート側から変える方法なんてあるのか…という疑問が湧いてきます。ここで考えがちなのでがソフトスキルの向上(説明をわかりやすくする、親切にする等)ですが、これは著者の調査で顧客努力にほとんど影響が無いことがわかっています。
当書が提案するのが「経験工学」というスキルです。経験工学は行動経済学に基づいたスキルで、アドボカシー、オルタナティブ・ポジショニング、アンカリングといったテクニックを使用し、顧客に「努力した」と感じさせないように「顧客の経験を誘導する」ことがすすめられています。
また、上記の方法を取り入れ、フレームワーク化し、サポート担当者全員にナレッジを行き渡らせた実際の企業の事例紹介もあります。
第5章 主導権を握るには、主導権を手渡さねばならない
この章は、「顧客努力をさせない、質の高いカスタマーサービス」を提供できるサポート担当者に求められる能力とその向上方法について書かれています。
サポート担当者の成績に一番影響が無い能力
調査の結果、下記の4つとなりました。
- 好奇心が旺盛
- 創造的である
- 批判的思考ができる
- 新しいことを試すのが好き
当書曰く、これらはIQに該当する能力といいます。つまり、IQはカスタマーサービスの成績と関係がないということです。
サポート担当者の成績に一番影響がある能力
調査の結果、下記の5つとなりました。
- 立ち直りが早い
- プレッシャーがきつい状況をバーンアウトせずに乗り切ることができる
- 自分の行動に責任をもつ
- 上司の建設的な批判に肯定的に反応する
- 長時間でも職務に集中できる
当書では、これらをCQ(コントロール指数)と呼称しています。
CQを引き出すのは「環境」
著者によるさらなる調査の結果、CQは改めて身につけるものではなく、ほとんどのサポート担当者が潜在的に身につけているものであることがわかりました。そして、その潜在的なCQを引き出す要因は職場の環境であることもわかりました。具体的には以下の3つ。
- サポート担当者の判断が信頼され尊重される
- サポート担当者が会社の目標を理解し、それに沿った仕事をする
- サポート担当者に互いにサポートし合う強力なネットワークがある
多くの企業が、「全顧客に一律したサポートの提供」の名のもとに、厳格なサポート規則を従業員に遵守させており、サポート担当者自身で考えたり判断することを良しとしていません。ですが、それは逆にCQを抑え込んでいることになっており、CQを引き出すためには、それとは逆のことをする必要があります(そして、それがディスロイヤルティの低減につながる)。当書では、それらの具体的な方法についても記載されています。
第6章 ディスロイヤルティを見つけ出せ 顧客努力指標V2.0
何度も出てきた「顧客努力」。これを減らす必要があるのはわかりましたが、それをどうやって測定すればいいのでしょうか。それを説明しているのがこの章になります。
ネットプロモータースコア(NPS)
著者の調査によれば、NPSは顧客ロイヤルティに影響を与える指標であることがわかっています。注意点は、NPSは、あくまで「企業」に対する指標なので、問い合わせ毎の顧客努力とは分けて考える必要があります。
ちなみに、第1章でもあったように、顧客満足度(CSAT)は顧客ロイヤルティに影響を与えることはほとんどない指標とされています。
顧客努力指標(CES)
「その問い合わせで顧客がどれだけ努力しなければならなかったか」をあらわします。著者のグループが定義した指標で、基本的にはサポート終了後に顧客に聞く形で取得します。言語や前後の設問内容の兼ね合いから、聞き方自体が難しいとされてきましたが、それらの弱点を克服したCES V2.0を著者グループが開発し、それらは当書の付録に記載されています。これは、多大な努力を要した経験によって離反のおそれがある顧客を特定するのに役立ちます。
確実な顧客努力測定システム
「これさえ見ておけば大丈夫」という特効薬はなく、あらゆる指標を広く観察する必要があります。当書は下記の構成をすすめています。
- NPS
- 顧客の企業に対する相対的なロイヤルティを理解する
- CES
- サービス提供の場面での顧客努力の度合いを把握する
- カスタマーサービスにおいて顧客がたどるプロセス
- 顧客が問題を解決するのに利用したタッチポイントの数と種類
- 各チャネル内での個々のCX
第7章 努力の軽減を定着させる
「顧客努力の軽減」はその場限りのものではなく、継続し続けなければいけない取組みです。継続のためには、カスタマーサービスのチームにこの考えを定着させる必要があります(当書曰く「事業理念にしなければならない」)。それはどうやればいいのか…を解説しているのがこの章です。
変革のストーリー
「顧客努力の軽減」は、単なる追加指標の1つではなく、事業理念そのものとして掲げる必要があります。つまり、従来のカスタマーサービスの理念を変える必要がありますが、理念を変える以上、現場担当者に「顧客努力の軽減がいかに重要か」を理解してもらう必要があります。当章では、それを行うための「変革のストーリー」の作り方と事例が記されています。
トレーニングよりコーチング
「顧客努力の軽減」の方法は、トレーニング(先生が多数にプレゼン形式で教える形。教室)では学べません。「顧客努力の軽減」は現場の行動を変える必要があるので、コーチングで教えるしかありません。
「顧客努力の軽減」を楽にできるようサポートする
現場担当者にいきなり「顧客の努力を軽減しろ」といっても、担当者からしたらよくわからないまま終わってしまいます。具体的なアクションに落とし込んだもの(過去の章にも出てきた「肯定的な言葉づかい」等)を用意し、上記の通りコーチング等で提供する必要があります。
第8章 コンタクトセンター以外での努力
この章は、「顧客努力の軽減」は、カスタマーサービス(サポート)以外でも効果を発揮するということを、事例とあわせて説明しています。
小売店の例
アップル社(アップルストア)やオールドネイビー社の店舗は、顧客が製品を購買したりサービスを受けたりする流れを極めてシンプルなものにしており、それ故顧客ロイヤルティが高いとしています。また、イギリスのレディング大学の学生は、論文で、小売店における顧客ロイヤルティと顧客努力には強い関連性が存在することを証明しました(実際に学生本人が調査した)。
この論文によれば、小売店の顧客努力を左右する重要な要素は下記の2つです。
- 誘導力
- 顧客が探しているものをいかに簡単に見つけることができるか
- 問題解決
- 顧客が問題解決のための手助けをいかに簡単に得られるか
製品(サービス)
小売店と同様、製品自体も顧客努力がかからないものがロイヤルティが高いとされています。例えばアップル社の製品は購入してから使い始めるまでが非常にスムーズに設計されています(説明書なしで使えるくらい操作が簡単)。「製品を使うために分厚いマニュアルを読むという努力」がいらないようになっているわけです。
購入経験
顧客が製品を買う時(購入経験)も、今までと同様、顧客努力が関係します。
CEBのスペナー氏とフリーマン氏がハーバード・ビジネス・レビューに寄稿した調査結果によれば、顧客を定着させるための最も重要な要素は「選択のしやすさ」であるとのことです。両氏は、さらに顧客の購入判断を3つの方法を発見しました。
- ブランドについての情報を簡単に検索できること
- 信頼できる情報を提供すること
- 選択肢を簡単に比較できること
また、CEBの別と調査によれば、B2B企業の顧客ロイヤルティの53%が「購入経験」によって決まるとのことです(製品の質や価格より重要な要素である)。その購入経験の最も重要な要素は「取引しやすい相手」であると、この調査ではいっています。
おわりに
「顧客努力を減らすこと」がサポートで一番重要だとは、自分の考えでは及びもしませんでした。データをもとに書かれているので説得力もあります。これを参考にサポートの運営方法を練り直さないと…。
ちょっと「へえ」って思ったのがセルフサービスのくだりです。自分が所属しているテクニカルサポートチームではZendeskを使用していますが、Zendeskの考え方も「FAQをヘルプセンターに書いて、セルフサービスで解決させよう」っていうものなので、当書と考え方が似ています。さすがカスタマーサポートを扱う製品を開発している会社だけあるなあ…と思いました。
あと、私はTableauというBIツールを扱っていますが、Tableauの強みも、機能の豊富さ等ではなく、その「シンプルな操作性」にあると思っています。「データの可視化」という難しそうなことを、簡単な操作で行える(努力が少ない)から、BIツールの中でも人気なのでしょうね。